日本小児アレルギー学会誌
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原著
イソプロテレノール持続吸入療法中の徐脈発現に関する検討
板澤 寿子足立 雄一足立 陽子岡部 美恵伊藤 靖典樋口 収宮脇 利男
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2008 年 22 巻 3 号 p. 349-356

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抄録
イソプロテレノール持続吸入療法は,気管支喘息大発作および呼吸不全において非常に有効な治療法であるが,回復後に心拍数が低下したとの症例報告が散見されるため,本治療法における心拍数への影響について検討した.イソプロテレノール(アスプール®またはプロタノールL®吸入)持続吸入群(47名)と非吸入群(49名)の心拍数を6ヵ月~12ヵ月未満,1歳~3歳未満,3歳~6歳未満,6歳~12歳未満,12歳以上の年齢別で比較検討したところ,最低心拍数は吸入群の方が非吸入群よりも全ての年齢群において低い傾向があり,1歳~3歳未満において有意差を認めた.一方,各年齢群の基準値以下の心拍数となった者は吸入群の7名(15%)と非吸入群の4名(8%)であり,また明らかな徐脈を呈した者は吸入群の2名(4%)のみであり,両群間に有意差は認めなかった.しかし,致死的不整脈を合併する小児も稀には存在するため,本療法の実施には注意を払う必要がある.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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