日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
乳幼児喘息の疫学調査のための質問票の妥当性に関する検討
岡部 美恵足立 雄一板澤 寿子中林 玄一淵澤 竜也五十嵐 隆夫村上 巧啓尾上 洋一高尾 幹足立 陽子宮脇 利男大矢 幸弘小田嶋 博赤澤 晃
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2010 年 24 巻 5 号 p. 705-712

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抄録
6歳以上の喘息児に関する疫学調査は,世界共通の質問票(ISAAC)を用いて広く行われているが,乳幼児を対象とした質問票の妥当性に関するエビデンスは少ない.そこで,新たに本邦ガイドライン(JPGL)に準じて作成した質問票の妥当性を検討した.7つの医療施設を受診した5歳以下の児の保護者に『ISAAC基準の質問票』ならびに『JPGL基準の質問票』への回答を依頼し,その回答と医師の判断を0~2歳児と3~5歳児でそれぞれ比較検討した.リクルートされた369名中353例(95.7%)を解析した結果,期間有症率について,0~2歳児では『JPGL基準の質問票』の陽性的中率は0.70であったのに対し,『ISAAC基準の質問票』では0.50と低値であった.一方,3~5歳では,それぞれ0.68と0.74であった.以上より,乳幼児の疫学調査には,2歳以下では『JPGL基準の質問票』を,3歳以上では『ISAAC基準の質問票』あるいは『JPGL基準の質問票』を用いることが適当であると考えられた.
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© 2010 日本小児アレルギー学会
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