抄録
近年,吸入ステロイド薬(ICS)による抗炎症治療が広まり,喘息による入院数は小児科領域でも減少傾向をみせている.しかし,年齢区分別にみると,0~4歳の乳幼児では減少が認められず,入院数に占めるこの年齢層の割合は増加傾向を示している.海外ではICSの使用と喘息入院減少との関連性が報告されており,本研究では乳幼児喘息患児に適した剤形であるブデソニド吸入用懸濁液の導入前後の喘息入院数を,地域医療圏において調査した.結果は,導入後に明らかな喘息入院の減少傾向を認めた.諸外国と比較し,乳幼児におけるICS使用は未だ少ないと考えられる.今後,一層のICS治療の普及と,それによる喘息入院の減少を図ることが重要と考えられる.