日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
原著
軽症~中等症持続型の小児気管支喘息の長期管理におけるツロブテロール貼付薬の有用性―ツロブテロール貼付薬追加投与と吸入ステロイド増量の多施設共同群間比較オープンラベル試験PEACOC―
吉原 重美藤澤 隆夫栗原 和幸宇理須 厚雄濱崎 雄平西牟田 敏之西間 三馨森川 昭廣近藤 直実
著者情報
ジャーナル 認証あり

2013 年 27 巻 1 号 p. 107-115

詳細
抄録
吸入ステロイド(ベクロメタゾンまたはフルチカゾン100 μg/日)により効果不十分な軽症~中等症持続型喘息患児(6~15歳)を対象として,長時間作用型β2刺激薬であるツロブテロール貼付薬(1または2 mg/日)を12週間併用投与し(併用群17例),追加治療薬としての有用性を吸入ステロイド倍量投与(増量群13例)と比較検討した.ツロブテロール貼付薬併用群では,起床時%PEFが観察期間に比べて1~12週後まで有意に改善し,7週目には吸入ステロイド増量群との間に有意差を認めた.また就寝前%PEF,喘息症状およびQOLに関しても,有意な群間差は認めなかったものの,観察期間に比べ改善がみられた.ツロブテロール貼付薬追加投与の安全性は高く,副作用は2例において皮膚のかゆみ,かぶれが発現したのみであった.ツロブテロール貼付薬は,わが国の「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2012」において中等症持続型以上の喘息患児に対する追加治療として推奨されているが,本結果から,軽症持続型を含めた喘息患児においても追加治療の選択肢となる可能性が示唆された.
著者関連情報
© 2013 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top