抄録
喘息のために入院治療を必要とする小児の実態を明らかにすることを目的に,2011年10, 11月の2か月間に急性増悪発作で入院治療を受けた15歳以下の患児の情報を,近畿2府4県の調査に協力の得られた49医療機関から集計し解析した.対象患者は397例で,5歳以下の乳幼児が66.9%を占めた(中央値は4歳).初回発作による入院と考えられる児が17.7%含まれていた.48.1%の患者が37.5℃以上の発熱を伴い,年齢が低いほど発熱を認める頻度が高かった.入院期間は6.0±3.0日で発熱を伴うと長期化する傾向が見られた.過去1年間に入院の既往のある患者は全体の27.0%を占め,入院を繰り返している例も少数見られた.自院管理中の患者は38.8%に過ぎず,長期管理薬の投与が行われていない児が49.7%を占めていた.小児喘息の管理状況の更なる改善を図るには,早期の喘息診断,的確なコントロール状態の把握に基づいた適切な介入を図るとともに地域における医療連携を深める必要性が示唆される結果であった.