日本小児アレルギー学会誌
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プロ・コンディベート3
急速経口免疫療法は必要か? Proの立場から
長門(伊藤) 直香
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2014 年 28 巻 1 号 p. 81-86

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抄録
近年,食物アレルギーに対して試みられている経口免疫療法には,主に病院で増量する急速法と主に自宅で増量する緩徐法がある.急速法は緩徐法と比べ,科学的根拠に基づいた様々な利点を持っている.
免疫療法の有効性を決める因子として,抗原投与の頻度,量,期間などがある.急速法は,抗原投与の頻度が多く(頻度),不応期の利用により目標維持量への到達率も高く(量),到達する速度も速いため,有効な治療期間をより早く開始できる(期間)という利点を持つ.そのため,急速法は,緩徐法よりも有効性・安全性が高い可能性がある.特に,症状誘発閾値が低く,症状重症度が高い患者ほど,自宅で増量する緩徐法は危険であり,病院内で医師が患者に付添い,万全な体制下で漸増する急速法にて治療を行う必要性がある.実際に我々は,最重症と思われる患者を対象に急速法のランダム化比較試験を行い,その有効性とともにQOLの改善も確認している.
これらの理由から,急速経口免疫療法は,重症食物アレルギー患者においても有効な予後を変え得る治療法として,必要な選択肢のひとつであると考える.
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© 2014 日本小児アレルギー学会
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