日本小児アレルギー学会誌
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総説
食物アレルギーのin vitro診断
木村 光明
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キーワード: ALST, BAT, DLST, HRT, IgE抗体
ジャーナル 認証あり

2014 年 28 巻 2 号 p. 193-200

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抄録
食物アレルギー検査で,最も頻用されるのが特異的IgE抗体(sIgE)測定であり,ImmunoCAP®が長らく標準的測定法としての役割を果たしてきた.sIgEによる卵白や牛乳アレルギーの診断精度は良好であり,最近はプロバビリティーカーブがこれらの食物アレルギー児の管理に活用されるようになっている.他方,大豆や小麦,ピーナッツアレルギーの診断精度はやや劣るが,これはコンポーネントIgEにより改善する可能性がある.最近,アラスタット3g Allergyの情報が増えている.診断精度はImmunoCAP®と同等であるが,測定上限がImmunoCAP®より高く,sIgEが非常に高い症例の分析や管理に活用できる可能性がある.BATとHRTは,いずれも好塩基球を検査対象とする即時型アレルギー検査であり,診断精度はImmunoCAP®と同等である.ヒスタミン遊離細胞の特性が反映されるため,症例によってはsIgEよりも正確に食物アレルギーを診断できる可能性がある.ALSTは,細胞依存性アレルギー疾患である新生児・乳児消化管アレルギーの診断に有用である.現在,大手の臨床検査会社で検査が行われており,全国すべての施設で,同一の基準で診断に利用できるようになった.DLSTは,基本的に食物アレルギーの検査には適さない.
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© 2014 日本小児アレルギー学会
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