日本小児アレルギー学会誌
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28 巻 , 2 号
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総説
  • 木村 光明
    2014 年 28 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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    食物アレルギー検査で,最も頻用されるのが特異的IgE抗体(sIgE)測定であり,ImmunoCAP®が長らく標準的測定法としての役割を果たしてきた.sIgEによる卵白や牛乳アレルギーの診断精度は良好であり,最近はプロバビリティーカーブがこれらの食物アレルギー児の管理に活用されるようになっている.他方,大豆や小麦,ピーナッツアレルギーの診断精度はやや劣るが,これはコンポーネントIgEにより改善する可能性がある.最近,アラスタット3g Allergyの情報が増えている.診断精度はImmunoCAP®と同等であるが,測定上限がImmunoCAP®より高く,sIgEが非常に高い症例の分析や管理に活用できる可能性がある.BATとHRTは,いずれも好塩基球を検査対象とする即時型アレルギー検査であり,診断精度はImmunoCAP®と同等である.ヒスタミン遊離細胞の特性が反映されるため,症例によってはsIgEよりも正確に食物アレルギーを診断できる可能性がある.ALSTは,細胞依存性アレルギー疾患である新生児・乳児消化管アレルギーの診断に有用である.現在,大手の臨床検査会社で検査が行われており,全国すべての施設で,同一の基準で診断に利用できるようになった.DLSTは,基本的に食物アレルギーの検査には適さない.
原著
  • 柳田 紀之, 宿谷 明紀, 佐藤 さくら, 永倉 顕一, 江村 重仁, 浅海 智之, 岡田 悠, 小池 由美, 小倉 聖剛, 飯倉 克人, ...
    2014 年 28 巻 2 号 p. 201-210
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
    ジャーナル 認証あり
    【目的】国立病院機構相模原病院小児科(当院)で作成した食物アレルギー症状の重症度に応じた対応法を記載したA6判の携帯用患者家族向けマニュアル(携帯マニュアル)の有用性をアンケート調査の結果に基づき評価し,今後の課題を検討する.【方法】当院外来を受診した食物アレルギー児の保護者435名およびエピペン®講習会を受講した小学校の教職員214名を対象に無記名選択式のアンケートを行った.【結果】内容は保護者の93.6%,教職員の92.5%が分かりやすいと回答した.重症度と対処法,アレルギー症状への対応,薬の使用法に関して保護者は74.3%,74.3%,77.0%が理解できたと回答したのに対し,教職員では57.5%,58.9%,44.9%と有意(p<0.001)に理解度が低かった.保護者,教職員とも掲示用の大きなサイズのマニュアル作成の希望が多かった.【結論】携帯マニュアルの満足度は高く,多くの保護者が内容を理解することができたが,教職員の理解度は保護者に比べ低かった.今後の課題としては,使用目的に沿ったより分かりやすく見やすいマニュアルの作成を検討する必要があると考えられる.
  • 山岡 明子, 林 千代, 渡邊 庸平, 園部 まり子, 長岡 徹, 三田 久美, 柳井 智和, 三浦 克志
    2014 年 28 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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    【目的】東日本大震災の津波の被害を受けた岩手県,宮城県,福島県の沿岸部在住のアレルギー児が避難所への避難の有無によってアレルギー症状の出現に違いがあったかどうかを検討する事を目的とした.【対象と方法】対象は岩手県,宮城県,福島県の沿岸部在住のアレルギー児の保護者.各地域の行政機関を訪問してアンケート調査を依頼し同意が得られた保護者にのみ回答してもらい返信用封筒にて回収した.これらの症例について,避難所に避難した症例と避難しなかった症例について,喘息発作やアトピー性皮膚炎の増悪などを比較検討した.【結果】気管支喘息に関して発作を起こした症例は,避難所に避難した症例で有意に多かった.アトピー性皮膚炎に関しても,湿疹が悪化した症例は避難所に避難した症例で有意に多かった.【考察】今回の検討から気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー児は避難所に避難した症例でより症状が悪化していた事が判明した.大災害時においても環境悪化に弱いアレルギー児が良い環境で避難生活ができる対策が望まれる.
  • 楢林 成之, 目黒 敬章, 伊藤 靖典, 徳永 郁香, 瀬戸 嗣郎, 橋口 明彦, 木村 光明
    2014 年 28 巻 2 号 p. 216-225
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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    背景:好塩基球活性化試験(BAT)は,比較的新しいIgE抗体依存性アレルギー検査法である.海外ではピーナッツアレルギー(PA)診断における有用性が高いと報告されている.PAの診断においては,精製ピーナッツ抗原Ara h2特異的IgE抗体(Ara h2-IgE)も診断精度が高いと報告されている.目的:日本人小児PA患者におけるBATの診断的有用性について検討し,IgE抗体と比較する.対象と方法:対象は食物負荷試験により確定診断したPA患者24名とピーナッツアレルギーのない非PA対照19名である.ピーナッツ粗抗原(P-粗抗原)および精製ピーナッツ抗原Ara h1とAra h2に対するBAT値とIgE抗体を測定した.診断的有用性はROC(Receiver Operating Characteristic)曲線の曲線下面積(AUC)で評価した.結果:P-粗抗原,Ara h1およびAra h2に対するBAT値のAUCはそれぞれ0.910(p=0.073),0.922(0.046)および0.967(p=0.023)であった.Ara h2-IgEのAUCは0.897(p=0.064)であり,Ara h2-BATとの間に有意な差を認めなかった(p=0.561).結論:日本人小児PA患者の診断において,Ara h2-BATはAra h2-IgEと同程度の診断精度を持つことが示唆された.
  • 長尾 佳樹, 大石 拓, 寺内 芳彦, 森本 徳仁, 菊地 広朗, 満田 直美, 玉城 渉, 山本 雅樹, 堂野 純孝, 久川 浩章, 是永 ...
    2014 年 28 巻 2 号 p. 226-231
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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    我々は,ミックス粉に繁殖したダニによるアナフィラキシーを3症例経験した.ダニの経口摂取によるアナフィラキシーは20年程前に報告され,現在も報告され続けている.当科アレルギー外来を受診する患児の保護者54名にアンケートをとったところ,これらの事例を知っていたのは38.9%であった.小麦粉製品は冷蔵保存することによりダニの繁殖を少なくできると報告されているが,64.9%は必ずしも冷蔵保存していなかった.小麦粉製品のダニ対策はまだ徹底されておらず今後も啓発が必要と考えられた.
ガイドライン解説
食物アレルギー診療ガイドライン2012
  • 有田 昌彦
    2014 年 28 巻 2 号 p. 232-235
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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    食物アレルギー診療ガイドラインは食物アレルギーによる疾病,疫学,メカニズム,アレルゲンなどの基礎知識に加えて,より正確な診断,必要最小限の食品除去,食品除去解除に至るまでの一連の診療プロセスをEBMに基づいて記載したものである.食物アレルギーの診療では患者や保護者に正しい関わりをしてもらうための教育や指導が不可欠であり,また個々の患者や保護者ごとに生じている問題点やその解決には問題点への理解と共有化が必要である.同時に,それらを看護師や栄養士などの医療スタッフと共有することも重要である.食物アレルギー児と関わるすべての人たちに正しい情報を提供し,適切な関わりができるための教育や指導および共有化は各章ごとに必要であるが,本ガイドラインではこれらを独立して本章にまとめ,保護者が納得しかつ理解でき,共有化を円滑に図れるためのアドバイスとして総論的にまとめたものである.本稿ではこれを補足する形で解説する.
  • 宇理須 厚雄
    2014 年 28 巻 2 号 p. 236
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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解説
手技編(診察)について
  • 吉田 幸一, 赤澤 晃
    2014 年 28 巻 2 号 p. 237-248
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
    ジャーナル 認証あり
    病歴聴取は診療の基本であり,小児アレルギー疾患の診療においても詳細な病歴聴取は不可欠で臨床経過と各種検査から総合的に判断する.小児では患者本人である子どもに加え保護者から情報を収集し,重症度や原因抗原,悪化因子が異なる個々の症例において,エビデンスに基づいたテーラーメード治療を提供しなければならない.問診票は臨床研究で対象をリクルートしたり情報を収集したりする方法として使われているが,簡易で妥当性が示された質問票は診療においても有用である.本稿では小児のアレルギーの領域において,研究だけでなく日常診療にも利用可能な質問票と情報の収集について述べたい.
  • 古川 真弓, 佐々木 真利, 赤澤 晃
    2014 年 28 巻 2 号 p. 249-256
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
    ジャーナル 認証あり
    学校や保育所で救急対応を要するアレルギー疾患として食物アレルギーの即時型症状があげられる.その対応を適切に教職員に指導するうえで「チームとして動くWork as a team」「リスクを知るKnow the risk」「プランを作るMake a plan」「キットを用意するGet a kit」「プランを維持するMaintain your plan」の5つのポイントがあると考える.誤食事故予防の対策や緊急時対応の際に「チーム」として動くために明確な役割分担が大切である.食物アレルギーについての理解に加えてアレルギー児の正確な把握,事故が起きやすい状況の把握など「リスクを知る」ことが事故予防につながる.作成すべき緊急時の「プラン」については東京都の食物アレルギー緊急時対応マニュアルを例に解説する.また緊急時に必要なものをまとめた「キット」を準備し,これらの対応が緊急時に生かされるために継続的な教育とシミュレーションを行い「プランを維持する」.
  • 亀田 誠
    2014 年 28 巻 2 号 p. 257-261
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
    ジャーナル 認証あり
    気管支喘息は,気道の慢性炎症性疾患であり,吸入療法が重要である.吸入による薬剤投与は,薬物を直接気道に作用させることができる方法であり,最低量の薬物量で最大限の効果が期待できる.一方吸入療法は適切な吸入方法で用いないと,その有効性は極端に低下するため,患者・家族が適切な方法を習得することが重要となる.吸入指導は,患者にあった薬剤剤形と吸入補助具を選択し,それらが適切に使用できるようにすること,さらに患者・家族が継続して使用することへの支援が含まれる.指導には時間を要するため,医師,看護師,薬剤師などが連携して対応することが望まれる.
  • 佐藤 一樹
    2014 年 28 巻 2 号 p. 262-266
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
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    環境整備は,薬物療法,患者教育とともに,長期管理の根幹を担う.有効な患者整備指導を行うためには,事前に十分な計画が必要である.一例としてインストラクショナルデザインに基づき,指導計画を立てる場合,以下の手順で行う.1.指導の単元=インストラクションと前提条件の設定,2.環境因子の影響の確認,3.環境条件の確認,4.達成目標の設定,5.指導内容の設定,6.評価方法の設定の順で計画する.実際の指導は,患者・保護者に時間的余裕があり,指導を受け入れやすい,発作入院時やコントロール悪化時などの機会をとらえて行う.受動喫煙の対策,寝具のダニ対策など,多くの喘息患者に影響が大きい項目を優先的に指導する.指導の要点として,環境整備の効果が実感でき,自己効力感を高めるために,患者や保護者と伴に環境整備の効果を客観的に評価しながら,継続することが重要である.
  • 益子 育代
    2014 年 28 巻 2 号 p. 267-273
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/09/29
    ジャーナル 認証あり
    子供に向けた患者教育は,2, 3歳から行える.子供の治療に対する動機を高め,主体性を育てる患者教育が必要である.そのために,子供の特性と患者教育の理論やスキルを駆使した介入が望ましい.介入の手順として,最初に指導を受けるための心の準備をする.病態に対するイメージをもち,毎日の自己管理,セルフモニタリングの理解が一致するように指導する.病態は本人に病気に対するイメージをもてるようにする.そして,治したい気持ちを確認して治療方法,治療スキルを指導する.そして,本人が主体,養育者や医療者が支援者としての役割を明確にする.その後も継続的に治療手技やモチベーションの強化を計る.アドヒアランスの阻害要因も解決しながら,治療中断を予防する関わりが必要である.
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