日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
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原著
日本小児アレルギー学会アナフィラキシー対応ワーキンググループが決定・公表した「一般向けエピペン®の適応」の評価
柳田 紀之宿谷 明紀佐藤 さくら永倉 顕一江村 重仁浅海 智之小川 絢子岡田 悠小池 由美小倉 聖剛飯倉 克人小倉 香奈子海老澤 元宏
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2014 年 28 巻 3 号 p. 329-337

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抄録

【背景】日本小児アレルギー学会アナフィラキシー対応ワーキンググループは皮膚症状以外の重篤な症状を「一般向けエピペン®の適応」の症状(以下WG症状)として公表した.【目的】当院小児科で行った重症例への食物経口負荷試験(以下負荷試験)の結果に基づき,WG症状のアドレナリン筋肉注射(以下Ad筋注)に対する妥当性を評価する.【方法】経口免疫療法の適応判定のために微量で重篤な症状が誘発される5歳以上の児を対象に二重盲検負荷試験を行った.試験陽性の鶏卵151例,牛乳163例,小麦50例,ピーナッツ27例の計391例の誘発症状を後方視的に検討した.【結果】Ad筋注された90例ではAd筋注がない301例に比べ有意に呼吸器症状(p<0.001),神経症状(p<0.001),循環器症状(p<0.001)が多かったが,皮膚症状には差を認めなかった.WG症状を認めた106例のうち,90例(84.9%)にAd筋注が行われた.WG症状がない例へのAd筋注はなかった.【結論】重症例への負荷試験結果を基にした検討では皮膚症状の有無はAd筋注の判断に有用ではなかった.WG症状は妥当なAd筋注の基準であると考えられた.

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© 2014 日本小児アレルギー学会
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