小児では喘鳴,咳嗽などの呼吸器症状は頻回に認められるが,近年,乳幼児の反復性する喘鳴にはいくつかのphenotypeが存在することが報告されている.病態や予後・経過,治療法は,各々のphenotypeによって異なるはずであるため,肺機能検査や気道過敏性検査などの客観的な指標による評価を用いて,phenotypeの分類を含む喘息の診断を進めるべきである.最も頻回に用いられる肺機能検査はスパイロメトリーで,最大努力性呼気により求められるFVC, FEV
1, MMF, V'
50, V'
25等のパラメーターが活用されている.フローボリューム曲線における努力非依存性の下降脚の形状は特に重要で,末梢気道の異常を鋭敏に示すことができる.残念ながら年少児では努力性呼吸が要求される検査ができないが,最近になり,インパルスオシロメトリー法(IOS)のような年少児にも使用可能な機器が入手可能になった.これらの技術を有効に用いて,小児の喘息の診断や治療のために,肺機能の客観的評価がなされるべきである.
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