日本小児アレルギー学会誌
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原著
宮城県の保険調剤薬局を対象とした小児気管支喘息治療におけるアンケート調査
渡邊 庸平林 千代山岡 明子三浦 克志
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ジャーナル 認証あり

2014 年 28 巻 3 号 p. 348-355

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抄録
【目的】成人領域において吸入ステロイド薬(Inhaled corticosteroids:ICS)による喘息治療への吸入療法の普及に伴い,医師と薬剤師が病薬連携を構築し喘息治療を行うことの必要性や有用性が報告されている.しかし,小児気管支喘息治療における病薬連携については,これまで報告がなく課題や問題点は明らかにされていない.そこで我々は,小児気管支喘息治療で用いられる長期管理薬の保険調剤薬局(薬局)における調剤状況や吸入指導の実態を調査し,効果的な病薬連携の構築を検討するためにアンケート調査を行った.【対象と方法】宮城県全域の薬局(1045店舗)を対象とし,小児気管支喘息治療に関する治療薬の調剤状況,吸入指導における状況や課題,病薬連携への意識などに関するアンケート用紙を郵送で送付し,回収した.回収された454件のアンケート(回収率43.4%)のうち,小児への調剤を行っていると答えた334件において解析を行った.【結果】44.7%の薬剤師が患者(保護者)からICSの副作用について質問されたことがあり,44.8%が医師による吸入指導の不足を指摘していた.また,薬剤師による吸入指導に関しては,実際に吸入の仕方を説明しながら行う直接指導が徹底されておらず,指導回数も十分ではなかった.吸入指導に関して,多くの薬剤師が病薬連携構築を希望しており,医師・薬剤師合同の勉強会の開催や統一した吸入指導箋を希望する回答も多かった.【まとめ】小児気管支喘息治療において多くの薬剤師が病薬連携を希望しており,効果的な病薬連携体制の構築が必要と思われた.
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© 2014 日本小児アレルギー学会
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