日本小児アレルギー学会誌
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原著
当科で処方したアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の使用事例報告
中田 如音佐々木 渓円松井 照明中川 朋子杉浦 至郎漢人 直之伊藤 浩明
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ジャーナル 認証あり

2014 年 28 巻 5 号 p. 796-805

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抄録
【背景】アドレナリン自己注射薬(adrenaline auto-injector,以下AAI,エピペン®)の使用率は処方数の1%とされ,処方医師が実際の使用症例を経験する機会は多くない.アナフィラキシー対策では緊急時の具体的なイメージを持つことが重要であり,使用事例の情報が役立つと考えられる.【方法】当科で保存しているAAI使用事例の詳細な経過記録を後方視的に評価した.【結果】2005年8月から2013年12月におけるAAIの使用事例は25例あった.誤食原因は外食・店頭販売・市販品が10例(40%),給食が8例(32%),経口免疫療法関連が7例(28%)であった.約7割が発症時にはアナフィラキシーグレード分類でGrade 1-2を呈していた.Grade 4の症状で発見された事例も28%認めた.発症からAAI使用までの時間は1時間以内が多く,中央値は20分(0-300分)であった.【考察】AAIの絶対的適応症状で発見された事例は一部であり,多くの場合は発見後に症状が進行していた.AAI処方時には,症状の変化を繰り返し評価し,注射のタイミングを見逃さないような,系統的アプローチを含めて指導することが重要である.
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© 2014 日本小児アレルギー学会
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