日本小児アレルギー学会誌
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原著
新生児・乳児期に手術を施行した先天性心疾患患者における消化管アレルギー発症リスクの検討
三角 祥子秋葉 靖山出 晶子冨板 美奈子星岡 明
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ジャーナル 認証あり

2014 年 28 巻 5 号 p. 822-828

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抄録
先天性心疾患と消化管アレルギー発症についての関連を調べるために今回の検討をおこなった.当院で新生児・乳児期に先天性心疾患に対する手術を施行した451例を対象とし,後方視的に診療録を調査し,消化管アレルギー発症の有無,治療経過についての検討を行った.対象の451例中14例が消化管アレルギーと診断されていた.そのうち先天性消化器疾患や感染性腸炎の合併など,心疾患以外の要因が消化管アレルギーの発症リスクとなりうる9例を除外した5例について,先天性心疾患や手術と消化管アレルギー発症の関連についての検討を行った.手術を要する先天性心疾患における消化管アレルギーの発症率は451例中5例と1.1%であった.5症例の経過より,肺血流増加型の心疾患やBlalock-Taussig短絡術など腸管血流が低下する血行動態となる手術が消化管アレルギーの発症や重症化のリスク要因になることが示唆された.このような先天性心疾患の患者では消化管アレルギーの発症に特に留意し,適切な栄養管理を行う必要がある.
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© 2014 日本小児アレルギー学会
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