2015 年 29 巻 1 号 p. 93-98
川崎病との鑑別を要した急性汎発性発疹性膿疱症の8歳女児例を経験した.入院時発熱,全身の紅斑,両側眼球結膜充血,口唇紅潮,四肢浮腫をみとめた.炎症反応が高値で,血清アルブミン,ナトリウム値が低下していた.川崎病も疑われたが発熱2日目であり,細菌感染症を考慮し抗菌薬の静注を開始した.翌日より全身の紅斑上に多数の小膿疱を認め診断に至った.入院3日目に解熱し,入院4日目に抗菌薬を中止した.紅斑・膿疱は徐々に消退し,入院5日目より落屑を認め,入院6日目に軽快退院した.原因検索として,発症から4日目と2か月時に薬剤リンパ球刺激試験を実施し,アセトアミノフェンが陽性であったことから原因薬剤と推定した.急性汎発性発疹性膿疱症は,川崎病,敗血症と病状が類似することもあり,誤診や原因薬剤投与による病状悪化の危険もある.小児では稀ではあるが,重症薬疹の一病型として認識する必要があると思われた.