抄録
日本小児アレルギー学会・喘息死委員会宛てに1989年から2013年10月までに気管支喘息に罹患していて死亡し登録された症例は新規登録10名を加えて246例で,対象外を除いた215例について解析した.男女比は134/81(1.7:1)であった.年齢ではここ数年では0~4歳児が最も多かった.死亡前1年間の重症度は,不明・未記入の割合が増加傾向にあり46%であった.軽症18%,中等症18%,重症27%であった.死亡前1年間の重症度が不明・未記入の割合は1997年以前は36.9%であったものが1998年以降は46.2%と増加していた.喘息死に関与した要因では,予期できない急激な悪化,適切な受診時期の遅れが多かった.適切な受診時期の遅れを来した要因として,患者・家族による判断の誤りが多かった.薬物療法について,1997年以前と1998年以降の死亡例を比較すると,キサンチン製剤とβ2刺激薬の内服,自宅でのネブライザー吸入,pMDIは減少し,吸入ステロイドは増加傾向にあるものの38%に留まっていた.また,β2刺激薬貼付剤や長時間作用性β刺激薬の使用が新たに認められるようになった.