抄録
新生児・乳児消化管アレルギー (消化管アレルギー) は, 消化管症状による病型分類がなされているが, そこには重症度が正確に反映されていない. 最近, CRP上昇や発熱が食物負荷試験で再現されることが確認されたが, これらの検査値異常や全身症状を加味することにより, より正確な重症度分類が可能となる. 消化管アレルギーのなかで, 重篤度や緊急性の点から最重症に分類されるのは, 発熱とともに高度のCRP上昇を伴う敗血症様病型である. 次いで重症度が高いのは, 強く持続性の嘔吐である. 脱水からショック状態に陥る可能性があるため, 入院のうえ, 治療と精査を進める. 体重増加不良を伴う下痢患者は, 消化管症状は軽いが, 全身的影響の大きさから中等症に分類される. 強い嘔吐患者や, 発育障害を伴う下痢患者では, 軽度のCRP上昇や画像検査での異常がみられることがある. 全身症状や検査値異常を伴わない下痢患者や血便患者は, 全身状態が侵される可能性は低く, 軽症に分類される. 消化管アレルギーは, 正確な重症度分類に基づき, 適切に治療・管理されることが望ましい.