2016 年 30 巻 4 号 p. 562-566
【背景】食物経口負荷試験で加熱鶏卵の摂取が可能と判断された児が, 生卵を使用しているマヨネーズの摂取が可能かどうかを検討した報告は少ない. 日常生活においてマヨネーズを摂取する機会は多いため, この問題を明らかにすることはリスク評価と生活の質の改善を与えられる点で重要である. 【方法】鶏卵アレルギーを疑われ鶏卵除去を行っていた児のうち, 加熱鶏卵1/2個の負荷試験が陰性で, その後加熱鶏卵1個を摂取可能となった症例に対し, 全卵を使用したマヨネーズ10gの負荷試験を行った. その結果と患者背景, 検査値等について検討した. 【結果】103例にマヨネーズ負荷試験を実施し, そのうち経口免疫療法を施行した6例を除いた97例を解析対象とした. マヨネーズ負荷試験陽性は4例 (4%) で, 誘発症状は皮膚・消化器症状が1例, 皮膚症状のみが2例, 消化器症状のみが1例で, いずれも軽微な症状でアナフィラキシーは認めなかった. 鶏卵に対する即時症状の既往を認めた35例では負荷試験陽性は2例 (6%) であった. 【考察】加熱鶏卵1個が摂取可能になった症例においてマヨネーズ負荷試験の陽性率は低く, 誘発症状も軽微であった. 鶏卵除去をしていた児でも加熱鶏卵1個が摂取可能になった場合, 自宅でのマヨネーズ摂取を積極的に促してもよいと考えられた.