日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
調査
保育所通所児におけるアドレナリン自己注射薬保有状況と保育所におけるアナフィラキシー対応
楠 隆野々村 和男廣田 常夫木原 明生岩井 義隆石上 毅成宮 正朗野村 康之西藤 成雄
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 30 巻 4 号 p. 567-573

詳細
抄録

【目的】保育所通所児におけるアドレナリン自己注射薬 (エピペン®) 保有状況やアナフィラキシー対応の現状を把握する. 【方法】滋賀県下の全認可保育所264施設にアンケート用紙を配布し, 253施設から回答を得た. このうち医師の指示書の提出を求めている237施設 (89.8%) を解析対象とした. 【結果】食物アレルギー (FA) 児の割合は6.1%, FA児在籍施設の割合は98.7%であった. アナフィラキシーを疑う症状を経験した児は161例 (FA児全体の10%) で, そのうちエピペン®所有児は39例 (アナフィラキシー疑い経験児の24.2%) であった. 処方の適応とされる15kg以上の通所児に限ってもエピペン®所有児は27例 (31.8%) に留まった. エピペン®所有児のいる施設は32施設あり, うちエピペン®を預かっているのは28施設 (87.5%) であった. 過去1年間に施設内で誘発症状を経験したのは61施設 (全施設の25.7%) あった. 【結語】エピペン®所有児のいる保育所の8割以上はエピペン®を預かっていた. 一方で, アナフィラキシー疑い経験児のエピペン®所有率は3割に留まっており, 保育所通所児において必要な症例に対するエピペン®の処方が十分でない可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2016 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top