2016 年 30 巻 5 号 p. 635-641
近年, わが国では全年齢でスギ花粉症患者が増加傾向にあるが, スギの標準化エキスが使用可能となってからはアレルゲン免疫療法による根治の可能性も示唆されている. 本研究では, 薬物療法によっても症状のコントロールが困難な小児重症スギ花粉症患者19名 (男13名, 女6名, 年齢4~15歳) に対し急速皮下免疫療法 (subcutaneous-immunotherapy : SCIT) を行い, その臨床効果と安全性を検討した. その結果, 全例で症状の改善が認められ, 78%は著効と考えられた. 副反応は, 局所反応全例, アナフィラキシー (アドレナリンを用いず) 11%, 全身蕁麻疹11%, 咳嗽を5%に認めた. いずれも適切な処置により速やかに回復し, アナフィラキシーショックは認めなかった. 小児におけるスギSCITは, 他のアレルゲンと同等に, 有効かつ安全であると考えられた. 近年は舌下免疫療法も注目されているが, 文献的にはSCITの優位性が強く示唆されており, 小児重症スギ花粉症患者に対し推奨されるべき治療と考えられる.