2016 年 30 巻 5 号 p. 659-665
がんや循環器疾患領域の臨床研究において, 治療介入を開始した時点から死亡などのイベントが発生するまでの時間を評価することがよくある. このような時間データを対象とする統計手法を生存時間解析という. すべての被験者の正確な生存時間がわかれば解析は容易であるが, 現実的には追跡期間中に転院等で追跡ができなくなり正確な生存時間がわからないことがしばしばある. このような状況を無視してデータ解析を実施すると, 解析結果にバイアスが生じる. 本稿では, 医学・薬学研究における生存時間データの特徴, 生存時間解析法の原理や利用法について概説する.