日本小児アレルギー学会誌
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喘息治療・管理ガイドライン委員会報告
CQ7 小児気管支喘息患者の急性増悪 (発作) 時に吸入ステロイド薬の増量は有用か?
川本 典生清水 麻由赤司 賢一荒川 浩一
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2017 年 31 巻 3 号 p. 336-342

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抄録

 小児気管支喘息患者の急性増悪時における吸入ステロイド薬 (ICS) 増量の有用性を, システマティックレビュー (SR) により検討した. ICS定期吸入中の喘息児の急性増悪時に, ICSを増量した群と増量しない群を比較した無作為化比較試験 (RCT) を抽出した. 全年齢を対象とした先行のSRより小児を対象とする研究を抽出し, さらに, それ以降で2016年3月までの小児を対象としたRCTを文献データベース (MEDLINE, Embase, CENTRAL) より抽出した. 日本語文献についても医学中央雑誌を用いて抽出した. 先行文献より, 小児を対象とする1報と, 追加検索により1報のRCTを抽出した. 両者ともICSとしてベクロメタゾン (BDP) を用いた検討で, 1報はニュージーランドでの単施設クロスオーバー試験, 他報は米国での5施設による並行群間比較試験であった. 日本語文献はなかった. ICSの増量は全身性ステロイド薬の投与が必要な急性増悪のリスクを下げなかった. 小児の喘息増悪時のICS増量はBDPでのみ検討されており, 現時点では, 推奨できるだけの十分なエビデンスがない.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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