2017 年 31 巻 5 号 p. 705-713
【目的】加熱卵黄に関して, 自宅等で安全に試験摂取を行う上での鶏卵関連抗原特異的IgE値の指標を提供する.
【対象と方法】2010年12月~2016年10月の間, 当科で加熱卵黄食物経口負荷試験 (OFC) を実施した106症例を対象とした. 卵黄・卵白・オボムコイド (OVM) 特異的IgE値とOFCの結果を後方視的に検討した.
【結果】OFC陰性群は86例, 陽性群は14例であった. 陰性的中率 (NPV) が95%以上で, 自宅等での試験摂取が可能と判断しうるIgEカットオフ値をsafety prognostic value (SPV) と定義し検討を行った. 対象者全体を解析対象としたSPVとNPV (カッコ内表示) は, 卵黄, 卵白, OVMでそれぞれ1.61UA/ml (94.6%), 5.62UA/ml (96.7%), 5.06UA/ml (95.6%) であった.
【結論】鶏卵アレルギー児が自宅等で安全に試験摂取を行う指標となるSPVを得ることができた.