日本小児アレルギー学会誌
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総説
蕁麻疹と血管性浮腫の最近のトピックス
秀 道広高萩 俊輔岩本 和真
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2017 年 31 巻 5 号 p. 714-720

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抄録

 蕁麻疹はありふれた疾患で, 一部の患者は血管性浮腫を伴う. 血管性浮腫は, 皮膚, 粘膜の深部に現れる限局性の浮腫で, マスト細胞の関与する蕁麻疹の一部として現れるほか, マスト細胞またはブラジキニンの関与する単独で現れるものがある. 後者には遺伝性血管性浮腫 (HAE) が含まれ, 視認可能な体表, 粘膜の浮腫のほか, 気道, 腸管の浮腫を生じることもある. HAEは, 診断までに時間がかかることが多く, 2014年のわが国での調査では初発症状から診断までの平均時間は13.8年であった. 近年, 蕁麻疹については新しい抗ヒスタミン薬のほかに抗IgE抗体が, HAEについてはブラジキニンを標的とした複数の新しい薬剤が発売, または開発が進められている. また, 近年発足した患者会の活動もあいまって, 蕁麻疹, 血管性浮腫の治療環境は大きく変化しつつある.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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