母乳栄養とアレルギーの関係について多くの研究が行われ, 完全母乳栄養がアレルギーに防護的であると考えられていた. EAACIは食物アレルギー予防のために生後4~6か月の完全母乳栄養が望ましいとしている. しかし, 人工乳開始時期と牛乳アレルギー発症時期を検討した研究では生後14日以前に人工乳を開始した群で牛乳アレルギーの発症頻度が低下していた. また, 牛乳アレルギー児の哺乳状況の後方視的調査では牛乳アレルギー児で新生児期からの1日1回以上の継続的な人工乳摂取の頻度が低く, 卵アレルギー児の牛乳アレルギー併発と人工栄養の関係の調査でも牛乳アレルギー併発群では生後3か月以内の継続的人工乳摂取の頻度が低かった. これらの知見より新生児期からの継続的な人工乳の摂取が, アレルギー発症を予防する可能性が考えられる. 一方で母乳栄養には感染症やSIDSの予防効果などもあり, 継続的な人工乳の摂取がこれらにどのような影響を与えるかはわかっていない. 乳早期導入の効果・安全性の検証のためさらなる知見の集積が必要である.