2018 年 32 巻 2 号 p. 205-210
喀痰症状を伴う咳嗽は, 湿性咳嗽とよばれる. 下気道由来の過剰な分泌物が咳嗽により唾液とともに喀出されたものが喀痰である. 気道分泌は, 正常な呼吸運動の維持に不可欠であるが, 過剰になるとさまざまな負の作用をもたらす. なかでも粘液線毛輸送系に及ぼす影響は重要である. 過剰な分泌が存在すると粘液線毛クリアランスによる処理能力を超えるため, 咳クリアランスによる代償が生じて咳嗽が出現する. 慢性の咳嗽と喀痰のある喘息患者は, 病状コントロールが不良であり, より頻回の増悪を生じることが知られている. このような慢性の気道過分泌の病態では, その背景にある気道炎症を制御することが基本であるが, 効果が不十分な場合には, 気道過分泌をターゲットにした治療戦略が重要である. 気道過分泌に対する治療には, ①ムチンの産生の抑制, ②ムチンの分泌の抑制, ③粘液線毛クリアランスの促進がある.