日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム3:長引く咳の治療戦略
長引く咳の病因・病態
渡邉 直人
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2018 年 32 巻 2 号 p. 197-204

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抄録

 咳嗽は生体防御反応であり, その経路には生理的反応と病的反応がある. 生理的咳嗽は知覚神経終末 (咳受容体) に過剰な刺激が加わったときに湿性あるいは乾性咳嗽として出現する. 病的反応としては咳感受性亢進ないし低下の状態があり, これら咳受容体を介する機序は, 機械的または化学的に刺激されるほかに, 気道炎症によってC線維の受容体が刺激され, サブスタンスP (SP), ニューロキニンA (NK-A) やCGRPなどの神経ペプチドが放出され, 中でもSPがAδ線維にある受容体を刺激し, そのインパルスが迷走神経求心路を介して延髄の咳中枢に伝達され, 咳嗽が惹起されると考えられている. また病的咳嗽の経路には, ほかにも平滑筋収縮を介する機序があり, それぞれが独立している. 長引く咳は, 2つの病的反応のいずれかの経路か両経路の合併によると考えられる. 一方, カプサイシン受容体として発見されたTRPV1は, 感覚神経特異的 (C線維, Aδ線維) に発現している.

 われわれの研究結果では, TRPV1はあらゆる呼吸器系臓器に分布しており, SP, NK-AおよびCGRPを含有し, 刺激によりそれらを放出し咳嗽や気道収縮に関与していることが示唆され, 気道炎症によりその活性化はさらに過敏となると考えられた.

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© 2018 日本小児アレルギー学会
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