日本小児アレルギー学会誌
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原著
昆虫型プラスチックシール食道異物による乳児喘鳴症例
岩永 晃溝口 達弘在津 正文
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キーワード: 食道異物, 喘鳴, 異物誤飲
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2018 年 32 巻 2 号 p. 224-229

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抄録

 喘鳴をきたす疾患は多岐にわたり, その原因の同定に苦慮する場合がある. 今回, 改善しない喘鳴が1か月以上持続し, その原因が昆虫型のプラスチックシールによる食道異物であった症例を報告する. 症例は1歳1か月の男児. 吸気性および呼気性喘鳴を伴う咳嗽を認め, 近医で気管支喘息として1か月以上加療されていたが改善せず, 当院を受診した. 喘鳴の鑑別として画像検査を行ったところ, 胸部CTで胸部食道内に昆虫型 (クワガタムシ型) 異物を認め, 周囲に浮腫性変化と気管の圧排を伴っていた. 全身麻酔下に内視鏡的異物摘出術を施行し, 昆虫型 (クワガタムシ型) のプラスチック製シールが摘出された. 小児の食道異物は, 目撃者がいなければ, その診断が時に困難であり, また, 咳や喘鳴など, 呼吸症状を呈することがある. 喘鳴が継続する場合, 食道異物の可能性も念頭におく必要がある.

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© 2018 日本小児アレルギー学会
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