日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
ガイドライン解説:食物アレルギー診療ガイドライン2016
第11-1章 食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA)
真部 哲治相原 雄幸大矢 幸弘
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 32 巻 2 号 p. 271-276

詳細
抄録

  「食物アレルギー診療ガイドライン2016」 では, 食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA) を, 「特定の食物摂取後の運動負荷によってアナフィラキシーが誘発される疾患である. ただし, 経口免疫療法後など原因食物の即時型アレルギーの既往を有する場合はこれに含めない」 と定義している.

 FDEIAの発症機序はIgE依存性で, 食物と運動以外にも複数の要因が関与する. 発症頻度は比較的まれで, 初回発症年齢のピークは10~20歳代である. 原因食物は甲殻類・小麦が多い. 発症状況としては, 食後2時間以内の, ランニングや球技など負荷量の大きい運動中の発症が多い.

 診断は問診とアレルギー検査から原因食物を絞り込み, 誘発試験を実施するが, その陽性率は高くない. アスピリンの前投与により診断率は上昇するが, 重篤な症状が誘発される可能性があるため, 初回の誘発試験では使用しない.

 生活指導として, 運動2時間前の原因食物の摂取を禁止する. その際に不適切な食事・運動制限により患児のQOLを損なわないよう注意する.

著者関連情報
© 2018 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top