2019 年 33 巻 1 号 p. 1-11
2015年4月の 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 (臨床研究倫理指針)」 , そして, 2018年4月の 「臨床研究法」 施行等, 2015年以降の臨床研究の実施環境は大きく変化している. しかしながら, この大きな変化を研究者が十分に理解しておらず, 関連法と指針で求められている臨床研究の実施前と実施中の倫理的手続きが不十分な事例が少なくない. また, マスメディアの報道をみるかぎり, 研究成果の公表においても, 不適切な事例が次々と明らかになっている.
本稿では, 臨床研究に取り組む者が 「そんなこと, 知りませんでした!!」 とあとになって慌てないように, 「臨床研究法」 と 「臨床研究倫理指針」 が研究者に求めていることについて, 新聞等で報道された違反事例などを用いながら解説する.