日本小児アレルギー学会誌
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33 巻 , 1 号
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教育講演
  • 古川 裕之
    2019 年 33 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     2015年4月の 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 (臨床研究倫理指針)」 , そして, 2018年4月の 「臨床研究法」 施行等, 2015年以降の臨床研究の実施環境は大きく変化している. しかしながら, この大きな変化を研究者が十分に理解しておらず, 関連法と指針で求められている臨床研究の実施前と実施中の倫理的手続きが不十分な事例が少なくない. また, マスメディアの報道をみるかぎり, 研究成果の公表においても, 不適切な事例が次々と明らかになっている.

     本稿では, 臨床研究に取り組む者が 「そんなこと, 知りませんでした!!」 とあとになって慌てないように, 「臨床研究法」 と 「臨床研究倫理指針」 が研究者に求めていることについて, 新聞等で報道された違反事例などを用いながら解説する.

シンポジウム1:食物アレルギーの発症予防とアトピー性皮膚炎
  • 夏目 統
    2019 年 33 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     食物アレルギーの発症予防法として, 乳児期早期摂取開始が推奨されるようになった. これは, 食物の摂取は経腸管感作ではなく, おもに経口免疫寛容をもたらすことがわかってきたためである. 2015年以降のランダム化比較試験, メタアナリシスから, 早期摂取開始によりピーナッツ, 鶏卵アレルギーの発症が予防できることが明らかにされた. それをもとに, 各国のガイドラインや提言で, それぞれ差異はあるものの早期摂取開始が推奨されている. ただし, 実際に早期摂取を開始する上で, 即時型アレルギー反応の誘発に配慮する必要がある. 日豪英, アジアからの提言で鶏卵アレルギー発症予防の関連部分では, 有害事象を減らすために 「加熱卵」 を 「少量から」 摂取するように推奨している. しかし, 早期摂取推奨の対象者, 対象食品, 開始時期, 開始量, スクリーニングの要否などは一定しておらず, 今後の検討課題である. 本稿ではそれら歴史的変遷と, 今後の課題について概観する.

  • 山本 貴和子
    2019 年 33 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     アレルギーマーチは, いくつかのアレルギー疾患が原因 (抗原) と発現臓器 (疾患) を異にしながら経過していく現象と定義され, 1つのアレルギー疾患を契機にアトピー性皮膚炎 (AD), 食物アレルギー, アレルギー性鼻炎 (花粉症), 喘息といった一連のアレルギー疾患を次々と発症していくことが示された. 一般的に1歳までにまずはじめにアトピー性皮膚炎を発症し, 続いてその後の小児期に, 食物アレルギー, 気管支喘息, アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を次々と発症する.

     様々なコホート研究から, 乳児期早期のアトピー性皮膚炎によりその後の食物アレルギー, 喘息, アレルギー性鼻炎のリスクが高まると報告されている. 将来的なアレルギーマーチの予防のためには, アレルギーマーチの源流にあるADに対する適切な介入が重要であると考えられ, 早期積極的治療介入により, その後の食物アレルギー, 気管支喘息, アレルギー製鼻炎などのアレルギー疾患の発症を抑制することができるのではないかと期待されている.

  • Jiu-Yao Wang
    2019 年 33 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     Beneficial effects of probiotics are long known to mankind. Research is beginning to unravel the true nature of the human microbiome and its interaction with the immune system. The growing prevalence of atopic diseases in the developed world led to the proposition of the “hygiene hypothesis.” Dysbiosis is linked to atopic diseases ; probiotic supplementation is able to alter the microbiome and certain probiotic strains have immunomodulatory effects in favor of a suppression of Th-2 and stimulation of a Th1 profile. To determine whether daily supplementation with specific Lactobacillus gasseri for 8 weeks can improve the clinical symptoms and immunoregulatory changes in school children suffering from asthma and allergic rhinitis (AR). We conducted a randomized, double-blind, placebo-controlled study on school children (age, 6-12 years) with asthma and AR. Our results showed the pulmonary function and peak expiratory flow rate increased significantly, and the clinical symptom scores for asthma and AR decreased in the probiotic-treated patients as compared to the controls. Further, there was a significant reduction in the TNF-α, IFN-γ, IL-12, and IL-13 production by the PBMCs following the probiotic treatment. In conclusion, probiotic supplementation may have clinical benefits for school children suffering from allergic airway diseases such as asthma and AR. In the mice model of mite-sensitive allergic asthma, oral administration with L. gasseri can attenuate major characteristics of allergen-induced airway inflammation and IL-17 pro-inflammatory immune response in a mouse model of allergic asthma, which may have clinical implication in the preventive or therapeutic potential in allergic asthma. Moreover, we found the immmuno-regulatory effect of L. gasseri in HDM-induced airway inflammation is through activation of PPARγ in dendritic cells. Hence, using probiotics as complementary treatment options in atopic dermatitis and food allergies seems to be a promising concept although the evidence is of a preliminary nature to date and more convincing trials are needed.

  • 大嶋 勇成
    2019 年 33 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     二重抗原曝露仮説が提唱されて以降, 食物アレルギーの発症機序として経皮感作が注目されている. 保湿剤により皮膚バリア機能を改善し, 食物アレルギーの発症を予防する試みが行われているが, アトピー性皮膚炎の発症を抑制しても, 食物アレルギーの発症を予防する効果は証明されていない. 食物アレルギー患者のすべてに, アトピー性皮膚炎の既往や皮膚バリア機能の異常を認めるわけでないことから経皮以外の感作経路の存在が示唆される. 花粉・食物アレルギー症候群では食物抗原と交差反応性をもつ花粉への感作は経気道的に生じていると考えられる. したがって, 経皮感作の予防のみでは食物アレルギーの発症を完全に防ぐことは困難と考えられる. 食物アレルギーの発症予防には, 経皮感作を修飾する因子, 経口・経気道感作の機序を明らかにする必要がある.

シンポジウム7:食物アレルギー
  • 佐藤 さくら, 小池 由美, 海老澤 元宏
    2019 年 33 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     小児期発症の即時型食物アレルギーは年齢とともに耐性獲得する. 食物経口負荷試験 (oral food challenge : OFC) の結果をもとにした乳児期発症の即時型食物アレルギーの自然歴の報告では, 6歳までの耐性化率は鶏卵が73%, 牛乳が85%, 小麦が66%であった. また米国での後ろ向き研究では, 即時型大豆アレルギー児は10歳までに69%が耐性獲得していた. 一方, 1歳時点のOFCで診断されたピーナッツアレルギー児は, 4歳時点の耐性獲得率が22%であった. さらにわれわれの検討では, 6歳まで遷延化した食物アレルギー児でも, 12歳までに鶏卵, 牛乳, 小麦は50%以上が, ピーナッツは約30%が耐性獲得していた.

     遷延化のリスク因子としては, アナフィラキシーの既往歴, 抗原特異的IgE抗体価の高値, 皮膚プリックテストの膨疹径が大きいことが報告されている.

     小児期発症の食物アレルギーの自然歴は原因食物により異なるが, 耐性獲得の可能性を常に考慮し, OFCを実施することが重要である.

  • 中島 陽一, 岡本 薫, 水谷 公美, 森 雄司, 川井 学, 大久保 悠里子, 近藤 康人
    2019 年 33 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     食物アレルギーの診断として, 一般論としては, 問診が重要であり, 何を, どれくらいの量を食べて, いつ, どんな症状が出たのかなどを聴取することが第一歩である. 診断の補助として特異的IgE抗体価の測定や皮膚試験を行う. 最終的な確定診断のためには食物経口負荷試験がゴールドスタンダードである. 摂取により客観症状があった食品において, 感作を証明できればアレルギーとして診断できる. 摂取したことのない食品に関して血液検査で感作を認めたときには判断に迷う場合がある. 粗抗原の特異的IgE抗体価の結果だけでアレルギーとはいえないため, コンポーネントに対するIgEや皮膚試験を活用しつつ, 必要に応じ食物経口負荷試験で確認せざるを得ないのが現状である. 卵, 乳, 小麦のアレルギーについての診断に関してはすでによく取り上げられているので, そのほかのアレルゲンの診断について注意すべき点など解説する.

  • 高里 良宏, 伊藤 浩明
    2019 年 33 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     食物経口負荷試験と食事指導は食物アレルギー診療の基礎スキルではあるが, 統一されたプロトコールは存在しない. 両者を安全にかつ有益に行っていくための当科の取り組みを解説する. 食物経口負荷試験では, 患者の重症度に合わせた負荷量の設定, 負荷間隔, 加工, 調理による低アレルゲン化を考慮する. 食事指導では当科における 「定量摂取法」 を概説し, 安全性評価および加工食品導入の方法, 現時点で抱える問題点を考察する.

  • 高岡 有理
    2019 年 33 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     「食物アレルギー診療ガイドライン2016」 によると経口免疫療法 (OIT) は 「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して, 事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認したのちに原因食物を医師の指導のもとで経口摂取させ, 閾値上昇または脱感作とした上で, 究極的には耐性獲得を目指す治療法」 と定義されている. 食物アレルギー (FA) の積極的な治療としてOITが注目されている.

     OITは閾値を上昇させる効果が高い治療である一方で, 時として強い副反応が起こることがあり, 施行の際には十分な安全対策が必要と考える. しかしながらOIT方法自体の優劣に関しては十分なエビデンスがあるわけではないため統一されたプロトコールはまだなく, 今後もさらなる情報の集積が望まれる.

     そこで今回の報告では, 現状で実行可能な安全性をより重視したOITの方法について, 患者の誘発リスクを事前に評価する方法, OITのリスクを最小限に抑えるために必要な患者指導と体制, 具体的なプロトコールについて, 当院での経験もふまえて解説する.

  • 永倉 顕一, 佐藤 さくら, 柳田 紀之, 海老澤 元宏
    2019 年 33 巻 1 号 p. 68-74
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     経口免疫療法 (OIT) は多くの食物アレルギー児の症状誘発閾値を上昇させるが, 日常摂取量を目標量とするプロトコールでは, OIT中の副反応は必発であり, 時には重篤な副反応を呈する. また有効性, 治療継続に関する問題点も明らかになってきている.

     近年, 上記の問題点を解決するために抗IgEモノクローナル抗体 (オマリズマブ) を併用するOITや維持量を少量に設定したOIT, 舌下免疫療法 (SLIT), 経皮免疫療法 (EPIT) などが試みられている. オマリズマブをOITへ併用することで安全性は向上するが, 治療効果には影響しないことが報告されている. 反応閾値の低い重症食物アレルギー児を対象に開始1年は目標量を少量 (全卵1/32個, 牛乳3mL, うどん2g, ピーナッツ0.5g) に設定した少量導入OITを実施しており, 日常摂取量を目標量とするOITよりも安全に実施でき, 一定の効果をあげている.

     今後はオマリズマブ併用OITや少量を目標量としたOITなどの長期間にわたる治療効果や安全性の評価が必要である.

シンポジウム8:小児喘息 未来への展望
  • 是松 聖悟
    2019 年 33 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     小児喘息と気道感染は, 感作と増悪の両面で, 互いに密接な関係にあることが古くから指摘されてきた. アレルゲン感作は気道感染時の免疫反応を抑制し, 気道感染はアレルゲン感作を促進する.

     また, 2009年のインフルエンザA (H1N1) pdm09, 2015年のエンテロウイルスD68の流行時は, それまで喘息の診断を受けていなかった, または間欠型であった小児における喘息の急性増悪を惹起した.

     小児喘息と気道感染の疫学的かつ免疫学的な関連を究明することは両者の予防・治療に有用と思われる.

  • 吉原 重美
    2019 年 33 巻 1 号 p. 79-87
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     乳幼児喘息に対する喘息管理について言及した. ①わが国では乳幼児喘息のフェノタイプを, IgE関連喘息 (アレルゲン誘発性喘息/アトピー型喘息) と非IgE関連喘息 (ウイルス誘発性喘息など) に病型分類した. ②乳幼児喘息の診断に, 「診断的治療」 を用いた. ③乳幼児喘息において, IgE関連喘息の多くは, 吸入アレルゲン陽性の 「アトピー型喘息」 へ移行する. 一方, 非IgE関連喘息の一部は 「アトピー型喘息」 あるいは 「非アトピー型喘息」 へ移行する. ④乳幼児喘息から難治喘息への移行するのは, 多抗原陽性のアトピー型喘息と肺機能低下を伴う好中球性喘息の2つのフェノタイプである. ⑤難治喘息への移行を阻止するには, 乳幼児喘息への早期介入が必要である. 学童期における肺機能低下を伴う好中球性喘息の予防に対しては, サルメテロール・フルチカゾン配合剤 (SFC) が効果的と考えられる, 一方, 多抗原陽性のアトピー型喘息の予防に対しては, スギやダニに対する舌下免疫療法が有用と考えられる.

  • 津下 充, 池田 政憲
    2019 年 33 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     小児気管支喘息治療・管理ガイドラインの普及とともに吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬を中心とした小児喘息の長期管理によって, 喘息死や喘息発作による入院患者数は減少し多くの喘息児の生活の質が向上した. しかし, 高用量の吸入ステロイド薬および複数の喘息治療薬の併用にもかかわらず, 十分なコントロールができない小児重症喘息も存在する. 近年, 小児重症喘息に対してヒト化抗IgEモノクローナル抗体 (オマリズマブ) とヒト化抗IL-5モノクローナル抗体 (メポリズマブ) が小児適応となり, 重症小児喘息に対する抗体製剤による治療の有用性が報告されている. その一方で, 抗体製剤開始後も喘息症状が持続し肺機能や気道炎症マーカーの正常化が得られない場合がある. 生物学的製剤の減量や中止についての方法に関しては十分なデータがなく, 今後の小児重症喘息における適正な診療のために, 有効性を予測するバイオマーカーの開発やエンドタイプに応じた生物学的製剤の選択ガイドラインが望まれている.

  • 望月 博之
    2019 年 33 巻 1 号 p. 95-105
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     COPD (慢性閉塞性肺疾患) は難治性, 進行性である上に, 世界中で増加がみられている. 有効な予防法がない現在, 可能な限り, 危険因子を排除すべきことが求められるが, 近年, 長期予後の調査から, 小児喘息がCOPDの重要な発症因子の1つであることが報告されている. 小児喘息はポピュラーな疾患である上に, 思春期での自然治癒率は決して高くないことや, 最近の治療法の進歩により見かけ上の軽症例が多くなり, 長期管理が中断, 放置される症例も数多いと考えられることから, 小児科医は, 喘息児の極長期的な経過を鑑みて, 肺機能検査を加えた長期管理を行い, タバコ煙から生涯回避すべきことを厳密に指導すべきである. COPDは成人の疾患であるが, その発症予防には個々の患者の小児期早期からの肺機能低下の確認が必要であり, 望むべき移行期医療を計画するにあたっても, 小児科医のCOPDの予防に対する理解が重要と思われる.

原著
  • 崎原 徹裕, 川満 豊
    2019 年 33 巻 1 号 p. 106-116
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     【目的】日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会より 「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」 が公表され0歳児の鶏卵経口負荷試験 (OFC) の需要が高まっている. 0歳児のゆで卵白OFCの安全性を検討した.

     【方法】目標総負荷量1/2個のゆで卵白OFCを行った0歳児を対象に陽性率, 重症度を検討した.

     【結果】陽性率は確定診断OFCで43.2% (16/37例), 安全摂取可能量および耐性確認OFC (症状誘発歴からOFCまでの期間中央値3か月) で80.6% (29/36例) であった. 前者では卵白, オボムコイドsIgE高値, 後者では完全除去がOFC陽性に関連した. 陽性45例中Grade 2の症状は27例 (60.0%) で未摂取と完全除去が, アナフィラキシーは4例 (8.9%) で未摂取が関連した.

     【結語】0歳児の総負荷量1/2個の卵白OFCは陽性率が高く, 症状誘発からの期間が短く, 総負荷量が多かったためと考えた. 未摂取や完全除去では強い誘発症状の割合も高くなりプロトコル設定に注意する.

  • 林 優佳, 西本 創, 谷田部 良美, 森茂 亮一, 桃井 貴裕, 谷口 留美, 高見澤 勝
    2019 年 33 巻 1 号 p. 117-122
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     ヨモギやシラカンバ花粉症は欧州で多くみられ, 交差反応性からスパイスアレルギー (Celery-birch-mugwort-spice症候群) を発症することが知られているが, わが国からの報告は少ない.

     症例は14歳女児. セロリ入りミートソースやカレーの摂取で口腔内違和感, 咳嗽, 呼吸困難がみられた. 皮膚プリックテストではコリアンダー等セリ科のスパイスのみが陽性で, 食物経口負荷試験にてセロリとコリアンダーにより症状が誘発された. 吸入抗原の特異的IgE抗体はシラカンバ・ハンノキで陽性, ヨモギは陰性で, カバノキ科花粉の飛散時期に一致して新たに花粉症の症状が出現したため, カバノキ科花粉症により花粉-食物アレルギー症候群としてセリ科のスパイスアレルギーを発症したと考えた.

     セロリ, ヨモギのプロフィリンと, シラカンバのBet v 2は相同性が高く交差反応するとされているが, 本症例ではBet v 2が陰性であり他の部位に対する感作と推測された. 近年, カバノキ科花粉症が増加しており, 同様の症例に注意が必要である.

  • 佐藤 大記, 二瓶 真人, 堀野 智史, 北沢 博, 三浦 克志
    2019 年 33 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     【背景】そばによる即時型食物アレルギーは学童期以降で頻度が高い. また他の食品に比べ, アナフィラキシーを起こしやすく, 寛解しにくいといわれている. そばアレルギーに対する経口免疫療法の論文報告はない.

     【方法】アナフィラキシー既往のあるそばアレルギー児のうち文書で同意を得られた患児に対して入院管理下に十割そばの食物経口負荷試験を行い, 安全に摂取可能な量を確認した. 自宅でそばを連日摂取し, 4週間ごとの外来食物負荷試験で20から50%ずつ増量するプロトコルで緩徐経口免疫療法を実施した.

     【症例】症例1 : 8歳男児. 7歳時にそば打ちの会場でアナフィラキシーを認め, 当科を受診した. 症例2 : 11歳男児. 5歳時にそば一人前を初めて摂取しアナフィラキシーを認め, 当科を受診した.

     【結果】それぞれ1年, 3年の期間をかけてアナフィラキシーをきたすことなく維持量 (150g, 200g) に到達した.

     【結語】そばアレルギーにおいても緩徐経口免疫療法が有効な症例が存在することが示唆された.

  • 二瓶 真人, 佐藤 大記, 堀野 智史, 三浦 克志
    2019 年 33 巻 1 号 p. 129-138
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/31
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     【目的】うどんの段階的な食物経口負荷試験 (OFC) の安全性を検討する.

     【対象・方法】2012年9月~2018年4月に当院でうどんのOFCを受けた症例を対象に, OFCの結果と参加者背景, 検査値を後方視的に調査した. 総負荷量の分類はステップ1 : うどん1g, ステップ2 : うどん10g, ステップ3 : うどん50g, ステップ4 : うどん100gとした.

     【結果】521件を解析した. OFC陽性率はステップ1, 2, 3, 4で16%, 34%, 21%, 18%であった. アドレナリン筋肉注射の使用率はステップ1, 2, 3, 4で0.5%, 1.5%, 0%, 0%であった.

     【結論】うどんの段階的なOFCの陽性率は低く, またアドレナリン筋肉注射の使用率が低いため, 安全に施行可能であると示唆される.

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