2019 年 33 巻 1 号 p. 61-67
「食物アレルギー診療ガイドライン2016」 によると経口免疫療法 (OIT) は 「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して, 事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認したのちに原因食物を医師の指導のもとで経口摂取させ, 閾値上昇または脱感作とした上で, 究極的には耐性獲得を目指す治療法」 と定義されている. 食物アレルギー (FA) の積極的な治療としてOITが注目されている.
OITは閾値を上昇させる効果が高い治療である一方で, 時として強い副反応が起こることがあり, 施行の際には十分な安全対策が必要と考える. しかしながらOIT方法自体の優劣に関しては十分なエビデンスがあるわけではないため統一されたプロトコールはまだなく, 今後もさらなる情報の集積が望まれる.
そこで今回の報告では, 現状で実行可能な安全性をより重視したOITの方法について, 患者の誘発リスクを事前に評価する方法, OITのリスクを最小限に抑えるために必要な患者指導と体制, 具体的なプロトコールについて, 当院での経験もふまえて解説する.