日本小児アレルギー学会誌
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総説
小児アレルギー疾患の病態研究および診断におけるリンパ球刺激試験の有用性
木村 光明
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2019 年 33 巻 5 号 p. 738-748

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抄録

 小児の特異的IgE抗体の産生には, 最初に卵白, 次いでダニ, 最後にスギ花粉という順序がある. このような時間差の原因を解明するためには, IgE抗体の産生を調節するTリンパ球の機能を調べる必要がある. リンパ球刺激試験は, 末梢血中のアレルゲン特異的Tリンパ球をアレルゲンで刺激し, その反応の強さを調べる検査である. 増殖反応やサイトカイン産生が指標として利用される. リンパ球刺激試験を用いた分析では, 各アレルゲンのT細胞レベルの感作時期には差を認めなかった. しかし, アレルゲンごとにサイトカイン産生パターンに差があることが明らかになり, これが, IgE抗体産生の時間差と関係している可能性がある. リンパ球刺激試験は, 非IgE依存性食物アレルギーの病態研究および診断にも利用できる. 新生児・乳児消化管アレルギーでは, 牛乳が主要アレルゲンであるが, 牛乳特異的IgE抗体は上昇していない. これに対し, 牛乳蛋白特異的リンパ球増殖反応は明らかに上昇しており, 診断上有用な情報となる.

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© 2019 日本小児アレルギー学会
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