日本小児アレルギー学会誌
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原著
乳児期の食物経口負荷試験の安全性と有用性
山田 慎吾鈴木 尚史星 みゆき今給黎 亮小堀 大河長尾 みづほ藤澤 隆夫
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ジャーナル 認証あり

2019 年 33 巻 5 号 p. 726-737

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抄録

 【背景】食物アレルギーの管理の基本は必要最小限の除去であり, 安全摂取量は食物経口負荷試験 (OFC) で決定することが望ましい. 乳児期でも同様と考えられるが, 乳児に限定したOFCの報告はない.

 【目的】乳児期OFCの安全性と有用性について検証する.

 【方法】2016~2018年に当院で乳児期に実施した鶏卵・牛乳・小麦OFCの診療録を後方視的に解析した.

 【結果】129人に173回のOFC (鶏卵100例, 牛乳38例, 小麦35例) を実施した. 負荷量は患者背景を事前検討してテーラーメイドに決定した. 陽性率は鶏卵18%, 牛乳32%, 小麦26%で, Anaphylaxis Scoring Aichi 15以上は8% (13/173), うち40以上60未満は2% (3/173) に認めたがアドレナリン筋注を要する重症例はなかった. OFC結果から食事指導を行い, OFC前に完全除去の70% (99/141) が3か月後に0.1g以上を摂取可能であった.

 【結語】乳児期OFCは症例ごとに負荷量を調整することで安全に実施可能である.

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© 2019 日本小児アレルギー学会
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