日本小児アレルギー学会誌
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プロコンディベート
プロ・プレバイオティクスによるアレルギー予防は可能か
Pro:アレルギー予防は可能である
伊藤 浩明
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2020 年 34 巻 1 号 p. 147-152

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抄録

健常な腸内細菌叢の存在が全身免疫系の維持に必須であることは,多くの基礎免疫学的研究が明らかにしている.

プロバイオティクスは「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義され,その多くはビフィズス菌と乳酸桿菌を指していた.これらの菌は,死菌でも効果を発揮することから,その菌体自身が何らかの免疫賦活作用を示すこともある.一方近年の研究により,腸内細菌叢から作り出される短鎖脂肪酸が制御性T細胞の分化を促し,経口免疫寛容を誘導することが明らかにされてきた.その活性の高い菌種の多くはクロストリジウム属に分類され,従来のプロバイオティクスとは異なる機序が注目されている.

プレバイオティクスとは,「宿主の微生物によって選択的に利用され,健康上の利益をもたらす基質」と定義され,その多くは食物繊維とオリゴ糖に分類される.その中には,腸内環境における短鎖脂肪酸含有量を増やす効果が確認されたものもあり,アレルギー発症予防に効果をもたらすことも期待される.

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© 2020 日本小児アレルギー学会
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