2020 年 34 巻 1 号 p. 153-157
プロバイオティクスやプレバイオティクスの作用機序の解析から,アレルギー性疾患の発症予防効果が期待される.しかし,介入研究のシステマティクレビューやメタ解析からは,プロバイオティクスは湿疹の発症を予防するが,他のアレルギーを予防する効果は認められない.一方,プレバイオティクスには食物アレルギーや喘息の発症予防効果を認める.しかしながら,出版バイアスや研究の多様性,結果のばらつきなどからこれらのエビデンスレベルは極めて低い.そのため,主要なガイドラインでは,プロバイオティクスやプレバイオティクスはアレルギー疾患の発症予防としては積極的には推奨されていない.プロバイオティクスやプレバイオティクスによる制御性T細胞の誘導効果などは投与中止により減弱することや,予防効果が期待できない児が存在する可能性を考慮すると,介入対象者を同定する方法や,有効な投与方法が確立されない限りプロバイオティクスやプレバイオティクスは予防方法として推奨できない.