日本小児アレルギー学会誌
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原著
気管支喘息として5年間吸入ステロイド薬治療を継続していたびまん性汎細気管支炎の1例
髙栁 文貴西田 光宏山本 崇晴
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2020 年 34 巻 5 号 p. 566-572

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抄録

症例は10歳女児.前医で5歳時に気管支喘息と診断され,吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid:ICS)の吸入とロイコトリエン受容体拮抗薬(leukotriene receptor antagonist:LTRA)の内服で加療を行っていた.喘鳴症状が継続し,10歳時に当科を紹介され,受診した.胸部聴診で呼気性喘鳴を認め,副鼻腔CTでは副鼻腔に液体貯留を,胸部X線写真,胸部CTではそれぞれ粒状影を認めた.血液検査で寒冷凝集素価の上昇を示し,びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)と診断した.診断後はクラリスロマイシン(clarithromycin:CAM)の内服を開始し,約5か月の投与で呼吸機能の改善が認められた.現在は,無治療で経過観察しているが,呼吸器症状と呼吸機能の悪化を認めていない.喘息として長期に治療を行っても症状が改善しない場合,DPBも鑑別に挙げるべきである.

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© 2020 日本小児アレルギー学会
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