日本小児アレルギー学会誌
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総説
小児アレルギー性鼻炎診療における留意点
川島 佳代子
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2021 年 35 巻 5 号 p. 451-458

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抄録

アレルギー性鼻炎の有病率は増加しており,小児においてもスギ花粉症の有病率が増加している.小児アレルギー性鼻炎の診断において問診は重要であるが,得られる情報が十分でない場合もあり詳細な聞き取りが重要である.小児においては検査の施行が難しいことがあるが,可能な検査を組み合わせて診断を行う.小児アレルギー性鼻炎には年齢に応じて,鑑別すべき疾患があり,それを念頭に置いて診断を行うことが重要である.また様々な疾患を合併することがあり,合併疾患による主訴で受診した場合は,アレルギー性鼻炎がないか注意が必要である.小児アレルギー性鼻炎の治療において成人同様,患者とのコミュニケーション,抗原除去と回避が重要であることはいうまでもないが,薬物療法で十分な効果を示さない場合は,有効性が高くアレルギーの自然経過を修飾することが見込めるアレルゲン免疫療法を考慮する.なかでも舌下免疫療法は安全性が高く,小児においては積極的に開始を考慮することが望ましい.症状,所見が高度である場合は手術治療も有効である.

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© 2021 日本小児アレルギー学会
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