2022 年 36 巻 1 号 p. 65-69
【背景】アレルギー疾患は多岐にわたり,対応する診療科が各々異なる.災害時のアレルギー患者対応には,各診療科医師の協同が望まれる.また,アレルギー対応食や薬剤確保などの対策には行政,薬剤師,看護師,栄養士,患者会,企業等との連携も必要となる.本研究では現状の問題点を抽出し,それに基づいて連携構築の提案を行う.
【方法】関連学会等の聞き取り調査,行政,患者・養育者,災害医療従事者へのアンケートを分析し,連携に対する提案を考案する.
【結果】各団体の活動は個別には行われているがまとまりのある活動はされてこなかったこと,各学会で温度差があることが判明した.活動の認知度は低く,統一された相談窓口に対する需要があることもわかった.
【結語】解決策の一つとして「アレルギー関連災害対応窓口」の構築を提案する.対象者がメールフォームに入力,内容に応じて専門医,関連団体等が対応する.対象は患者だが,行政,災害医療従事者と拡大していくことが望ましい.今後,運用方法,設置場所については慎重に検討する必要がある.