日本小児アレルギー学会誌
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総説
蕁麻疹様血管炎とその類縁疾患
池田 高治
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ジャーナル 認証あり

2022 年 36 巻 3 号 p. 248-256

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抄録

蕁麻疹様血管炎は,蕁麻疹よりも長時間持続し,掻痒や灼熱感を伴い,紫斑を残して消退する蕁麻疹様紅斑を呈する.皮膚真皮浅層に分布する小血管特に細静脈(postcapillary venule)に白血球破砕性血管炎を示す血管炎の一型である.血清補体価の低下を伴う低補体血症性蕁麻疹様血管炎と血清補体価が基準範囲の正補体血症性蕁麻疹様血管炎に分類される.低補体血症性蕁麻疹様血管炎の発症機序として,抗C1q抗体による免疫複合体形成での補体活性化が想定されている.皮膚血管炎を示す小児症例の多くはIgA血管炎であり,小児発症の蕁麻疹様血管炎は稀とされているが,一定の割合で蕁麻疹様血管炎の症例が診断されている.その中には,DNASE1L3 mutationが同定され,全身性エリテマトーデスを発症する症例もある.蕁麻疹様紅斑以外にも,予後を左右する慢性閉塞性肺疾患や種々の型の糸球体腎炎,上強膜炎や結膜炎など,皮膚外症状を伴うことがある.蕁麻疹・全身性エリテマトーデス・自己炎症性疾患などとの鑑別を行う必要がある.

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© 2022 日本小児アレルギー学会
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