2022 年 36 巻 5 号 p. 522-525
乳児用調製液状乳(液体ミルク)の組成は乳児用調製粉乳(粉ミルク)と同等とされている.少量の粉ミルクの摂取歴のある乳児が,液体ミルク0.5mLを摂取してアレルギー症状を示したので報告する.
7か月の完全母乳栄養児.A社粉ミルク10mLを摂取時は症状なく,B社,C社の液体ミルクを0.5mL摂取し嘔吐や顔面の発疹を認めた.血清特異的IgE(UA/mL)は,牛乳1.85,β-ラクトグロブリン(BLG)1.99,カゼイン<0.10,α-ラクトアルブミン<0.10で,BLGが原因抗原の牛乳アレルギーと診断した.皮膚プリックテストはA社粉ミルク陰性,B・C社液体ミルク陽性だった.どれも一般育児用ミルクであったが,A社粉ミルクは乳清たんぱく質を一部分解したミルクで,B・C社液体ミルクの乳たんぱく質は未分解だった.
牛乳アレルギーの一部は一般育児用ミルクであっても種類によってアレルギー反応が異なる可能性がある.特に液体ミルクなどの普段と異なる種類のミルクを,緊急時に初めて摂取しないように啓発する必要がある.