日本小児アレルギー学会誌
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総説
アトピー性皮膚炎と鑑別を要する免疫不全症
金澤 伸雄
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2022 年 36 巻 5 号 p. 526-531

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抄録

アトピー性皮膚炎は,アトピー素因を背景とした慢性反復性の難治性湿疹として定義される.その本態をフィラグリン遺伝子変異に代表される皮膚バリア異常による皮膚の易刺激性・過剰反応そのものとすれば,それ自体が一種の自己炎症あるいは免疫不全症とも考えられる.一方,臨床現場においては,特有の原発性免疫不全症の部分症状として現れるアトピー性皮膚炎様皮膚症状を遅滞なく鑑別する必要がある.小児のアトピー性皮膚炎と鑑別が必要な免疫不全症として診療ガイドラインであげられる疾患には,皮膚バリアの破壊によって生じるNetherton症候群,細胞骨格リモデリングの異常によって生じるWiskott-Aldrich症候群,サイトカインシグナルの異常によって生じる高IgE症候群,T細胞レパトアの制限によるOmenn症候群,免疫寛容の破綻によって生じるIPEX症候群がある.これら「原発性アトピー性疾患」の病態を理解することにより,複雑なアトピー性皮膚炎の病態理解が深まることが期待される.

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© 2022 日本小児アレルギー学会
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