2022 年 36 巻 5 号 p. 532-539
ワクチンに対するアレルギーで,もっとも重要なのはアナフィラキシーである.診断はレトロスペクティブに検討する際にはブライトンの症例定義にしたがって行うが,実際の臨床現場では,アナフィラキシーガイドラインに従い,少しでもアナフィラキシーが疑われたら速やかに治療する.アナフィラキシーに至る例は非常に稀であるが,突然起こる重篤な副反応として,常に備えが必要である.ワクチンアレルギーの原因としては,かつてはゼラチンや鶏卵などが危惧されていたが,現在そのリスクは低くなっている.原因精査のための検査はプリックテスト,好塩基球活性化試験,特異的IgE抗体などがあるがワクチンによって有用性は異なる.
新型コロナワクチンについては当初はポリエチレングリコールの可能性が示唆されたが否定的な見解もでてきており,確立された検査法が未だなく,機序も不明な点が多い.
ワクチン毎のアレルギーの診断方法の確立とともに,それでも接種が必要な場合の対応などの課題は多いが整理して確立していくことが望まれる.