魚の主要アレルゲンであるパルブアルブミンは筋形質タンパク質で,ほぼ全ての魚種に存在する.魚種間で交差反応性を持つため,魚アレルギー患者は複数の魚種に症状を有することが多い.ほかのアレルゲンとしてコラーゲンやアルドラーゼ,エノラーゼなど10種類以上報告されている.鑑別疾患としてヒスタミン中毒とアニサキスアレルギーが重要である.魚アレルギーの診断には特異的IgE抗体価だけでは判断できない場合も多い.最終的には経口食物負荷試験で確認する必要がある.魚はビタミンDの主要な供給源であり摂取可能な魚種を増やすことは栄養面でも大切である.魚だし,マグロ缶詰は摂取可能な場合が多い.マグロ,カジキ,カツオといった赤身魚はパルブアルブミンの含有量が少ないため,最初に試す候補となる.新しい治療として低アレルゲン化魚を用いた免疫療法が試みられている.