日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
原著
大規模災害時のアレルギー疾患患者対応の問題とその対応
―薬剤師へのアンケート調査―
岡部 公樹吉川 知伸宮本 学金子 恵美吉田 幸一緒方 美佳渡邉 暁洋本村 知華子小林 茂俊
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ジャーナル 認証あり

2023 年 37 巻 5 号 p. 424-433

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抄録

【目的】大規模災害現場で薬剤師がアレルギー疾患患者に対応する際の問題点,アンメットニーズを明らかにするため調査を行った.【対象と方法】災害医療に携わる薬剤師に日本薬剤師会,日本病院薬剤師会を介し無記名のWEBアンケート調査を行った.【結果】235名から回答を得た.アレルギー疾患に関する情報を平時は電子媒体で得たい薬剤師が多く,災害時はアプリ,紙媒体で得たい薬剤師が平時より増加した.アレルギーポータルや既存の資材の利用者は少なかった.支援で調剤・携行した薬は抗ヒスタミン薬が多かったが,アレルギー疾患関連薬剤の携行量や剤型の不足が問題であった.吸入補助器具やアドレナリン自己注射薬は携行数と比べ今後の携行が推奨されていた.患者指導で重要な事として79.6%の薬剤師が「避難時の薬剤手帳の携帯」と回答した.【結論】アレルギーポータルや資材の普及,支援時期毎の携行薬リスト作成,薬剤手帳を携帯して避難することの啓発が必要である.一方,使用期限の短いアドレナリン自己注射薬の災害時の供給方法は今後の課題である.

災害時のアレルギー疾患対応に関して薬剤師に調査を行い、235名から回答を得た。抗ヒスタミン薬の調剤者数が多く、アドレナリン自己注射薬の調剤者数は少なかったが携行推奨者は多かった。アレルギー関連薬剤では携行量や剤型不足が問題であった。患者指導では避難時の薬剤手帳の携帯が重視された。 Fullsize Image
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© 2023 日本小児アレルギー学会
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