小児気管支喘息の発症及び急性増悪においてウイルス感染は重要な要因の一つである.これまでにライノウイルス,respiratory syncytialウイルスなどの感染に関する報告は多く,さらに近年はヒトメタニューモウイルス,2009年に流行したA(H1N1)pdm09およびエンテロウイルスD68による急性増悪に関する報告も見られるが,新型コロナウイルスに関する報告は多くない.
著者らが行った新型コロナウイルス流行以前の3年間の研究調査では,喘息急性増悪のため入院した患児の入院時の鼻咽頭ぬぐい液検体からライノウイルスが最も多く検出され,これらは既報告と類似した結果であった.
2009年のA(H1N1)pdm09の流行では小児気管支喘息患者において肺炎,重症急性増悪などの重篤な呼吸器合併症が多く見られた.現在著者らは喘息マウスモデルを用いて小児気管支喘息患者におけるA(H1N1)pdm09感染による重症呼吸器合併症の病態解明,治療法及び予防法の確立を目指している.
本稿では著者らがこれまで行ってきた小児気管支喘息におけるウイルス感染による重症呼吸器合併症の病態解析に関する基礎および臨床研究の成果の一端を紹介する.
抄録全体を表示