日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
PDE4阻害薬(ジファミラスト軟膏)
堀向 健太
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2023 年 37 巻 5 号 p. 505-512

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抄録

ホスホジエステラーゼ(PDE)は,1958年に発見された,環状アデノシン―リン酸(cAMP)や環状グアノシン―リン酸(cGMP)のリン酸ジエステル結合を加水分解する酵素である.PDE4は,11のPDEサブタイプ中もっとも多くの種類があり,cAMPとcGMPのシグナル伝達経路を介し多様な生理機能の調節に関与する.1977年に開発されたロリプラムはPDE4阻害薬の先駆けとなったが,PDE4のサブタイプの構造の類似性のため,PDE4阻害薬の多くが副作用のため使用が中止された.その後,サブタイプ特異的な阻害剤の開発は難航していたが,2022年にジファミラスト軟膏がアトピー性皮膚炎の外用薬として開発され,その有効性と安全性が確認された.日本のアトピー性皮膚炎治療において,ジファミラスト軟膏は,ステロイド外用剤,タクロリムス軟膏,デルゴシチニブ軟膏に続く第4の新たな治療薬としての位置を占めるようになっている.本稿では,PDE4阻害薬の変遷と,ジファミラスト軟膏の特性について概観した.

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© 2023 日本小児アレルギー学会
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