日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
アトピー性皮膚炎治療薬としてのJAK阻害薬
樺島 重憲
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2023 年 37 巻 5 号 p. 519-526

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抄録

アトピー性皮膚炎の新規治療薬として,主にJAK1およびJAK2を阻害するJAK阻害薬が注目されている.アトピー性皮膚炎の病態形成に関わるIL-4,IL-13,IL-22,TSLPといった複数のサイトカインの細胞内シグナル伝達を遮断することにより良好な治療効果を発揮する一方,JAK1およびJAK2以外のJAKファミリー分子への影響が少ないため,全身投与を行っても重篤な副作用を生じにくいことが報告されている.臨床的特徴の一つは,投与開始後の効果発現が早いことである.投与開始数日で掻痒感が軽減し,長期に投与を継続しても効果の減弱は見られず,投与終了後には比較的速やかに効果が消失する.2023年6月現在,本邦ではアトピー性皮膚炎の治療薬として3種類の経口JAK阻害薬が上市されているが,いずれも高価であり,その切れ味のよい特性を活かすなら,中等症から重症の患者の治療を行う際の寛解導入に用いたり,急性増悪時にステロイド外用薬への追加治療として用いたり,といった使用法が考えられる.

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© 2023 日本小児アレルギー学会
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