日本小児アレルギー学会誌
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原著
マダニ回避指導後にα-Gal特異的IgE値が低下し寛解したと考えられたα-Gal症候群の1例
吉川 英樹
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2024 年 38 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)症候群は,マダニ咬傷を介して糖鎖α-Galに経皮的に感作されることにより,α-Galを含む獣肉によって遅発性にアレルギー症状が誘発される症候群である.本症は感作源であるマダニの回避により寛解する可能性が期待されている.今回,マダニ回避指導後にα-Gal特異的IgE値が低下し,本症が寛解したと考えられた1例を報告する.症例は15歳女子.牛肉が原因と考えられたアナフィラキシーを呈し,α-Gal特異的IgE値が陽性であったことから本症と診断した.マダニ咬傷歴を有し,屋内外で多数のネコを飼育していたことから,マダニ回避目的でネコの屋外飼育を指導した.α-Gal特異的IgE値は,指導前の3.61から17か月後には0.40に低下した.25か月後に行った牛肉負荷試験が陰性であったため寛解したと考えられた.本症例のα-Gal感作にはネコが重要な役割を担っており,本症例がマダニに刺咬されにくくなったことにより本症が寛解した可能性が考えられた.

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