日本小児アレルギー学会誌
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原著
経管栄養を行っている医療的ケア児に対し,食物負荷試験を実施した3例
大仲 雅之大久保 天進西川 宏樹鈴木 里香吉田 さやか
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2024 年 38 巻 2 号 p. 152-157

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抄録

近年の新生児医療の進歩の結果,気管切開や胃瘻等を有し,常時医療的ケアを要する児(医療的ケア児,以下医ケア児)の数は年々増加傾向となっている.それに伴い食物アレルギーを有する,またはその疑いがある医ケア児の数も増加していくことが予想されるが,診断確定や摂取可能量の判定のために不可欠である食物負荷試験を経鼻もしくは経胃瘻的(経管的)に行ったとする報告はこれまでなされていない.これまでに我々は3名の医ケア児に対して計5回の経管的な食物負荷試験をおこなった.目標量を少なめに設定する,養育者や児の看護を経験したスタッフによる観察を特に密に行う,などの対策を行い,治療を要したのは抗ヒスタミン薬内服を行った1回のみで,安全に実施可能であった.摂取可能な食物を増やすことができたのみならず,それまでは使用できていなかった成分栄養剤を用いることができるなど,メリットも大きかった.経管的な負荷試験に対する経験をさらに積みあげ,実施可能な施設が増えていくことが望まれる.

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© 2024 日本小児アレルギー学会
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