日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)
野澤 智
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2024 年 38 巻 2 号 p. 204-210

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抄録

トシリズマブ(tocilizumab,TCZ)は,わが国で初めて開発された抗interleukin(IL)-6受容体モノクローナル抗体である.TCZは可溶型または細胞膜結合型のIL-6受容体に結合し,IL-6とその受容体との結合を阻害することで,その後のシグナル伝達を抑制し炎症を沈静化する作用を有する.IL-6をターゲットにした薬剤は,TCZの他に数種類あるが,小児ではTCZのみ保険適用となっている.現在,TCZは若年性特発性関節炎や高安動脈炎などリウマチ性疾患に対し使用されているが,さらに,近年,腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群,SARS-CoV-2による肺炎に対しても適用承認され,リウマチ分野以外にも用いられる薬剤である.本稿では,TCZの作用機序,適用,導入前の評価,副作用,今後の展望について解説する.主に小児科領域の臨床現場において,適切な使用の参考として役立つことを期待する.

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© 2024 日本小児アレルギー学会
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